首都圏以外のタワーマンションが立ち並ぶエリア

東京23区のタワーマンションは2008年からの10年間で200棟以上も建てられ、東京の街は一気に「タワーマンションだらけ」の様相になりました。

しかし、タワーマンションが増えたのは東京都心だけではありません、首都圏の全体で増えています。

タワーマンションが多く建っている街というと真っ先に思い浮かぶのは武蔵小杉駅周辺と武蔵浦和駅周辺です。ともに「武蔵」が付きますが、武蔵小杉は神奈川県川崎市中原区、武蔵浦和はかつての埼玉県浦和市、現在の埼玉県さいたま市浦和区にあります。

武蔵小杉駅周辺でタワーマンションの開発が進み始めたのは、今から10年くらい前2008年頃からのことになります。中小工場が多く存在していた工場街だった武蔵小杉ですが、これらの移転・閉鎖などがあって、その跡地利用として行政や沿線鉄道会社などがタワーマンション誘致を行います。

もともと、東急東横線、JR南武線の交差する駅であり、また2000年には東急目黒線が開通、武蔵小杉駅は始発駅になります。(今は日吉駅まで延伸となっています)、東急目黒線は地下鉄南北線、三田線とつながっているため、通勤には大変便利な場所になりました。さらに、2010年には横須賀線(総武快速線)の武蔵小杉駅が開業し、品川、新橋、東京駅方面へ短時間でダイレクトに行けるようになりました。

こうした立地のいい場所ですので、タワーマンション開発が進み販売が始まると、その人気は高く、好調に売れていきました。住みたい街ランキングの常連となり、タワーマンションの数はどんどん増えていきました。この10年で武蔵小杉駅周辺の開発は一気に進み、利便性も向上、街の景色は一変しました。多摩川を挟んで対岸にある田園調布の高台から見える武蔵小杉の景色は、小さな摩天楼のような感があります。

 

首都圏で2008年からの10年間、どれくらいのタワーマンションが建ったのか?

こちらの記事では、東京23区内に2008年以降に建てられたタワーマンションの数のグラフを示しましたが、今回はそのエリアを拡大し、首都圏(一都三県 : 東京、神奈川、埼玉、千葉)に建てられたタワーマンションの数を見ていきましょう。

 

(図1)超高層マンション竣工・計画戸数推移(首都圏)

 

図1は2008年以降の首都圏で建てられたタワーマンションの数を示したものです。(不動産経済研究所調べ)ここでは、20階以上のマンションをタワーマンションとしています。

2008年~2017年の10年間に341棟、111,722戸(室)あります。

 

2008年にリーマンショックが起こり徐々に減っていきます。2011年、14年は数が少なくなっています。10年間で平均30棟以上、11,000戸(室)以上というかなりの数のタワーマンションが毎年のように建てられていることが分かります。

 

首都圏郊外でどれくらいのタワーマンションが建てられているのか?

次に武蔵小杉や武蔵浦和といった、郊外にフォーカスして検討してみましょう。

(図2)超高層マンション竣工・計画戸数推移(東京23区以外の首都圏)

 

図2は、首都圏郊外(一都三県、東京23区以外)でどのくらいのタワーマンションが建てられたのかを示したグラフです。2011年、2014年の落ち込みが目立ちます。また、2016年、17年は不動産市況が良く、価格が上昇している時期になりますが、それほど多く建てられていないことが分かります。

 

郊外タワーマンションの今後の展開

図2を見て気になるのは、今後の計画です。図1で示したグラフ(東京23区の今後の計画)に比べて、その数の少なさが目立ちます。東京都心では、今後湾外エリアの開発があるため、ある程度の数が見込めます。一方、郊外の駅前再開発がおおかた一巡し、また武蔵小杉のような立地のいい場所にあるかつての工場地の再開発(23区内では大崎エリアなどがそれに該当)も一巡して、それほど立地のいい開発があまり残っていないこと、などがその理由と思われます。

こうしてみると、今後、郊外エリアでのタワーマンションの開発は、ますます減っていくと思われます。そのエリアでの人口動態にもよりますが、マンション需要が衰えないとするならば、郊外駅前タワーマンションの資産価値はしばらく上がると思います。

 

吉崎 誠二氏
吉崎 誠二氏
  不動産エコノミスト 社団法人 住宅・不動産研究所 理事長   不動産・住宅分野におけるデータ分析、市場予測、企業向けコンサルテーションを行う傍ら、全国新聞社、地方新聞社をはじめ 主要メディアでの招聘講演は毎年年間30本を超える。

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。