都心以外でのタワーマンションの増加

講演などに呼ばれて、地方都市に行くことが月に1度以上のペースであります。ここ10年間で全国の県庁所在地都市は大方訪問させていただきました。

最近の訪問では、多くの地方都市の主要駅周辺で2棟3棟のタワーマンションをみることが多くなりました。「あっ、この都市もツインの高層マンション化・・」 と感じることも多々あります。

地方主要駅周辺の再開発が進んでいます。駅の正面口はバスターミナルやタクシー、自動車用のロータリー、これらの流れがスムーズになるような再整備。一方、それまでは裏口と呼ばれていた逆サイドの駅前を開発して、タワーマンションが建てられる。こうした「駅前、駅近にタワーマンション」、という光景は地方だけではありません。東京郊外の駅前でも、どんどんタワーマンションが建てられています。例えば、武蔵小杉駅周辺、武蔵浦和駅周辺等は有名です。

タワーマンションとは、何階以上の建物を指すのか明確な規定はありません。
概ね地上60M以上、20階建てくらい以上のマンションを指すようです。

タワーマンションはなぜ増えたのか?

1997年に容積率の緩和が盛り込まれた建築基準法の改正が行われて、その後次第に増えていきました。これが、なぜ増えたのか?の理由の1つです。これまでよりも、高い(大きい)建物が建てられるようになったということです。

タワーマンションは、まずは都心の再開発エリア、そして2000年代前半には湾岸(内陸側)エリア(品川、芝浦、天王洲など)そして2010年以降は、東京湾の埋め立てエリア(豊洲、有明、東雲など)へと拡大していきました。2010年ころからは、冒頭に書いた地方都市や東京郊外エリアへ広がっていきました。

こうしたタワーマンション人気の理由を考えてみましょう。

1) タワーマンションの多くは交通利便性がいい。

再開発エリアに建てられることが多いため、たいていは、駅前もしくは駅から近い所にあります。
ただし、東京湾埋め立てエリアは、これに該当しません。

2) タワーマンションは憧れの的?

高くそびえ立つ、設備も整ったタワーマンションに憧れるユーザーも多いようです。テレビドラマやテレビ番組での特集もあったりして、こうした感情に拍車をかけているのかもしれません。

3) タワーマンションは、年数が経っても値段が下がらない?

ある調査機関が試算した20年後に値段が下がらないマンション上位リストを見たことがありますが、それによると地方大都市の駅前にそびえ立つタワーマンションが上位を独占していました。東京都心のマンションもいくつか入っていましたが、地方大都市駅前タワマンの存在が圧倒的でした。
このように、長期的視点で資産価値が下がりにくいと思われます。

4) タワーマンションは、立地の割に意外とお買い得?

駅の目の前という好立地のため、あるいは人気があるということから、かなり高価格帯をイメージされがちな、タワーマンションがですが、モデルルームに行って、実際に担当者から話を聞くと「以外にも手に届きそうな価格」と思う方が多いようです。

タワーマンションが意外とお買い得!?

ここからが今回のレポートの主論になりますが、この4)の「意外とお買い得」には訳があります。
再開発事業には国あるいは地方公共団体から補助金が出ます。「市街地再開発事業」に認定され、再開発の一環として、その一部にマンションを建てると、この補助金がマンション事業に使われ、そしてそれは販売価格の押し下げ効果になります。

このことを図説したものが下記になります

このような仕組みがあって、市街地再開発に伴うタワーマンション建設はまだ増えていきそうです。
しかし、この補助金は市街地の再開発目的とはいえ、その恩恵を直接的に受けるのは、タワーマンション購入者であることから、批判も上がっています。

もし、こうした批判が盛り上がり、制度の変更、あるいは補助金の減額などが起こると、再開発型タワーマンションの価格は上がる可能性があります。
そうすると、より立地のいい中古タワーマンションが比較優位に立つかもしれません。今後の動向が注目されます。

吉崎 誠二氏
吉崎 誠二氏
  不動産エコノミスト 社団法人 住宅・不動産研究所 理事長   不動産・住宅分野におけるデータ分析、市場予測、企業向けコンサルテーションを行う傍ら、全国新聞社、地方新聞社をはじめ 主要メディアでの招聘講演は毎年年間30本を超える。

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