マンションリサーチ総合研究所

【第2回】これの指数を見れば、日本の不動産市況の先読みができる!

~アメリカケースシラー指数と東証REIT指数の関係性~

米国の住宅価格の動きを示す、S&Pケースシラー住宅指数が上記グラフは2014年3月公開分(2014年1月データ分)まで。(毎月最終火曜日、2か月遅れで発表される)主要20都市対象の値動きを示す指数は前年同月比13.24%のプラス。20か月連続の前年同月比プラスという結果だった。

おおかた予想通りの数字だったといえる数字のようだが、サブプライム、リーマンショックの後からしばらく、上がったり下がったりと小刻みな動きをしていたのが(2009~2012上期)、2012年6月からは一転、上昇が続いていた。その上昇カーブに歯止めがかかりはじめた、というのがこのデータが示す現状だ。

さて、このケースシラー指数とほぼ同じ手法で指数化した日本版が、「東証住宅価格指数」だ。(異なる点:ケースシラー指数=戸建の売買取引、日本=中古マンションの売買取引)

2011年4月~公開され始めているこの指数だが、1993年6月以降のデータで、2000年1月を100として指数化されている。現在は試験配信という事で、首都圏の1都3県分だけ公開されている。ケースシラー指数もこの指数もともに2か月遅れの最終火曜日が公開日で、先に述べた点以外は同じ方法で指数化されており、日米の比較には便利だ。

ケースシラー指数は有名だが、この東証住宅価格指数はまだまだ、あまり知られていないが、不動産の動きを見るのにわかりやすい指標だとおもう。また、同じ算出 手法なので、米国不動産の動きが日本の不動産の動きに影響があるのか?などの検討材料にも使えるのではないかと思う。

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上記①のグラフは、東証住宅価格指数を加工したグラフだ。オリジナルデータは、2000年1月=100そして算出されているが、その指数を2007年3月=100として計算した。ミニバブルと呼ばれた2005年からの盛り上がりが、リーマンショックではじけ、今回の山のスタートは2012年11月くらいからだという事が見える。

東証が発表する不動産関連の主な指標は、東証REIT指数、東証不動産株指数、東証住宅価格指数だ。このうち証券化されている株とJREITの指数はタイム リーに算出されている。これらの指標値とアメリカの住宅不動産指数であるケースシラー指数とを色々と比較してみると、面白いことに気付く。

次のグラフを見ていただきたい。

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東証に上場されている不動産投資信託=JREIT価格を指数化したものである東証REIT指数と、ケースシラー指数の動きが似ていることに気付くことだろう。

2つの指数は基準とされている年次が異なる。さらに、東証REIT指数は基準日の値を1000、ケースシラー指数は同じく100と設定しているので、単純比較はできない。そのため、グラフでは、比較しやすいように、2007年3月の値を、ともに100として算出してみた。

東証REIT指数の方が、より下落率が大きく、リーマンショック前の2007年3月に比べて、2009年の3月には34%と大幅に落ち込んでいる。しかし、その後、ケースシラー指数は2012年6月くらいから上昇に反転、REIT指数は2012年の9月ごろから大きく盛り返している。

各グラフの近似線を作成してみると、(実践と破線)、似ている具合がよくわかると思う。

アベノミクスと言われ始めたのは、2013年以降(政権交代は2012年12月)。日本の不動産市況の一端が見える、REIT指数では、アベノミクスとは関係なく(それより以前に)上昇していたのだ。

そして、ここでわかることは、REIT指数が上昇基調になる3か月前からケースシラー指数は上昇に転じていた。

不動産市況ではサキヨミが重要であることは言うまでもない。

2007年3月からの動きを追いかけると、アメリカの住宅市場(USAケースシラー指数)が最初に動き、次にREITの価格(東証REIT指数)が動き、次いて、日本の住宅価格(東証住宅価格指数)が動くということになる。

日本の不動産関係者、購入予定者は、これから先ケースシラー指数の動きが気になる事だろう。

この記事を書いた人

吉崎 誠二
不動産エコノミスト
社団法人 住宅・不動産研究所 理事長 
吉崎 誠二

早稲田大学大学院ファイナンス研究科修了。
立教大学大学院 博士前期課程修了。
㈱船井総合研究所上席コンサルタント、Real Estate ビジネスチーム責任者、基礎研究チーム責任者 等を経て 現職。
不動産・住宅分野におけるデータ分析、市場予測、企業向けコンサルテーションなどを行うかたわら、全国新聞社、地方新聞社をはじめ主要メディアでの招聘講演は毎年年間30本を超える。
著書:「データで読み解く 賃貸住宅経営の極意」(2016年2月)「2020年 大激震の住宅不動産市場」(朝日新聞出版)「消費マンションを買う人、資産マンションを買える人」(青春新書)等10冊。多数の媒体に連載を持つ。
公式サイト:http://yoshizakiseiji.com/
社団法人 住宅・不動産総合研究所:http://www.hr-i.jp/


2014年7月1日
レポート