マンションリサーチ総合研究所

どうなる?2018年の不動産市況。展望を大胆に予想する

新年、明けましておめでとうございます。

皆様におかれましては輝かしい新年をお迎えのこととお喜び申し上げます。
また、旧年中は、多大なるご尽力をいただき、本年も、更なるサービスの向上に努めて参りますので、より一層のご支援、お引立てを賜りますようお願い申し上げます。

新年初回は2018年の不動産市況がどのように動いていくのか?を金利・税制度・景気を元に予想していきます。

2018年は平成が始まって30年、そして来年4月末に現天皇陛下の退位が決まっていますので、来年平成31年は4か月だけとなり、実質平成最後の1年となります。
年初以来、株価は続伸しています(執筆時:1月9日)。昨年末22,000円台の後半だったが、一気に23,000円台の後半となり、24,000円台、25,000円台も視野に入ってきています。

そんな幸先のいいスタートを切った2018年の不動産市況はどうなるかについて考えてみます。

不動産市況を左右するポイントとしては(大きな外的要因(例えばリーマンショック等)がないとして)、金利、税制、景気動向などが挙げられます。

金利の動向

まず、不動産市況に最も大きな要因である金利についてです。現在は史上稀にみるような貸出低金利が続いています。マイナス金利政策導入直後からは、多少金利が上昇しましたが、その上昇もわずかで、その後現在まで、低い金利が続いています。
現在の日銀総裁任期は2018年春(4月)までで、その人事如何によっては政策が変わる可能性があるかもしれないと言われています。しかし、現在のような自民党の安定政権状態がしばらく続くようなら、日銀の政策は、たとえ総裁が後退しても、大きな変化はないと思われます。そうだとすると、まだしばらくは景気刺激策を続けるということですから、低金利が続くということになります。
しかし、アメリカやEUの動向を見てみると利上げ観測が強く、その流れで、日本においても、2018年秋頃、早来れば2018年夏頃から金利が上がると予想する専門家が多いようです。
こうした動向を総合的に勘案すると、前半は今のような超低金利が続き、後半はやや金利上昇の可能性が予想されます。

税制度

次に税についてです。
2019年の10月から消費税10%になることが決まっています。景気への影響懸念から消費税増税を再び延期した方がいいという意見も散見されますが、現在の景気状況、政権の安定性、等を考えると、再び延期することはないと思います。
請負契約の特記事項(2019年10月の半年前=3月末までの契約なら、引き渡しがそれ以降でも現在の消費税のままの扱い)等を考慮すると、消費税増税の1年くらい前から、つまり2018年秋頃から駆け込み需要が起こると思われます。
しかし、今回の8→10%の増税は、2014年4月の5→8%の増税時に既に決まっていた(時期はズレましたが)ことなので、一定の駆け込み需要はあるものの5→8%の時に起こったような駆け込み契約は起こらないと思います。
2014年4月からの増税に際して、その前年2013年には住宅着工戸数が総計、持ち家(注文住宅)、貸家(賃貸用住宅)のカテゴリーで11%以上増えました。今回、11%以上は無いにしても、+5%程度の増加は見込まれるという見解です。
消費税増税の観点から見ても、2018年の不動産市況とくに住宅市況はポジティブに作用すると思われます。

その他にも、登録免許税の減税、住宅ローン減税の延長、不動産売買における税の特例の延長など、不動産・住宅市場にとって有利な税制の延長や導入がほぼ決まっているようなので、これらもポジティブに作用するはずです。

景気動向

アジア(特に北朝鮮)において、微妙な緊張感が続いています。平和裏に解決することを願うばかりですが、これらが爆発すると、状況は一気に分からなくなります。
こうした状況がないとして、日経平均株価は現在23,000円台後半で推移していますが、企業業績もよく、決算期の配当も増配の企業が多いようですので、株式市場は概ねこの後も良好と思います。この状況のまま2018年の前半は進むと思われます。賃金も少しずつですが、上昇をしてきており、景気のいい状態がつづきそうです。

2018年の不動産市況をまとめると
金利の観点:前半はポジティブ
税の観点:ポジティブ
景気状況:ポジティブ
という状況です。

前年同月比マイナスが続く賃貸住宅建築市場

しかし、気になる数字もあります。
冒頭で述べたように、これまで不動産市況、建築市場をけん引してきた、貸家(賃貸住宅)の建築数が減っています。

主に2つの理由が考えられます。

1つ目は、金融機関とくに地銀の貸し出し審査が若干厳しくなっていること。賃貸住宅の収支シミュレーションでの賃料推移予測、空室予測などのストレスをかけた数字に対しての審査が厳しくなっているとの声が聞かれます。「ギリギリ通るかな」という案件の貸し出し審査が通りにくくなっているという状況です。

2つ目は、地方都市において、ここ5年間くらい土地活用で賃貸住宅を建てるオーナーが増えました。2012年以降5年連続のプラスとなっていました。また、2014年からの相続税制の変更にともない、その節税策としての賃貸住宅経営を行う方が増えた。こうした方々の需要が一巡してしまった、との見方もあります。「ある程度刈り取った」というイメージです。

2018年の不動産市況は、今年とあまり変わらず、それなりに好調が続くと思います。一方、賃貸住宅の建設については前半は厳しいと思いますが、後半は消費税増税の恩恵を受け始めて、前年同月比で増えると予想します。

皆様にとって2018年がいい年になるよう祈願しております。

この記事を書いた人

吉崎 誠二
不動産エコノミスト
社団法人 住宅・不動産研究所 理事長 
吉崎 誠二

早稲田大学大学院ファイナンス研究科修了。
立教大学大学院 博士前期課程修了。
㈱船井総合研究所上席コンサルタント、Real Estate ビジネスチーム責任者、基礎研究チーム責任者 等を経て 現職。
不動産・住宅分野におけるデータ分析、市場予測、企業向けコンサルテーションなどを行うかたわら、全国新聞社、地方新聞社をはじめ主要メディアでの招聘講演は毎年年間30本を超える。
著書:「データで読み解く 賃貸住宅経営の極意」(2016年2月)「2020年 大激震の住宅不動産市場」(朝日新聞出版)「消費マンションを買う人、資産マンションを買える人」(青春新書)等10冊。多数の媒体に連載を持つ。
公式サイト:http://yoshizakiseiji.com/
社団法人 住宅・不動産総合研究所:http://www.hr-i.jp/


2018年1月11日
レポート