マンションリサーチ総合研究所

どうなる?2017年の不動産市況。大きな転換点の予感

2016年の不動産市況は、2015年後半に失速しかけた市況が、2016年1月下旬のマイナス金利政策発表によって持ち直しが起こり、概ね前年からの高水準を保つことになった。しかし、実需マンションは高値が続いていることから、夏以降売れ行きは芳しくないようだ。

2017年の市況を、執筆時点1月5日時点での状況を基に予測してみたい。

≪2017年予測の為の現状分析~2016年1月5日時点~≫

円安状態が続いている。
11月初旬は100円~103円程度だった円ドル相場はトランプ氏が新大統領に選出され、強気な経済政策を行う見通しとなり、またFRBも順次利上げを行うことを示唆していることから、この傾向は2017年の上期中は続くだろう。1月5日(執筆時点)で、115円となっており、2カ月弱で、10%以上も円の価値が値下がりした。しかし、エコノミストが年初に発表したコメントを読むと、「さらに円安になる」という方もいれば、「円安基調はそのうちに収まり、年内には再び100円台半ばになる」と予想される方が混在していた。いつも思うのだが、為替相場を読むのは難しい。

株価は上昇を続けている。
円安の影響と年末上昇が相まって、年明けも最値が続いている。しかし、企業業績が好調という訳でもないのに上昇をしていることから、日経平均は年度内(2017年3月)、もしくは梅雨前頃(2016年6月)には、2016年半ば頃の16000円~18000円の範囲に収まると思われる。

不動産市況は、微妙な様相を呈している。
マンションの新規販売は苦戦しており、割安なマンション用地や事業用地が減少。土地仕入れの難航が続いている。その一方で投資用不動産の販売は好調で、土地活用受注も2016年は好調だった。不動産市況は奇妙な二極化の様相だが、2017年の不動産市況は減速感がはっきりと出ると思われる。

金利は、超低金利がつづいているものの、わずかずつであるが上昇の兆しが見え始めてきた。
投資を促し経済活性化を目指すために、日銀は国債購入を依然として進めている。それがどこまで続くのか?が事実上、今後の金利を決める。

≪住宅の市況をデータで読み解く≫
一般財団法人 日本不動産研究所が公表している住宅価格指数は中古マンションの取引事例をもとに算出している指数である。

図1)1993年以降の住宅価格指数

図1)1993年以降の住宅価格指数

昨今の不動産市況の盛り上がりは、東京の指数はミニバブル期(2005年~2008年)を超えようとしており、価格の天井感がうかがえる。
2013年以降のいわゆるアベノミクス以降だけをフォーカスすると、図2のようになる。

図2)2013年以降の住宅価格指数

図2)2013年以降の住宅価格指数

これを見ると、冒頭に述べた2015年年末~2016年の初めにかけての失速感が見える。
そろそろ、売り時か?と言われて1年くらい経つが、2017年は本当に売り時かもしれない。

≪データで読み解く2017年不動産市況の予想≫

不動産市況は全般的にみると、横ばいからややネガティブな状況になると思われる。都心を中心とした高値推移地域のマンション市況は、ネガティブな動きになるだろう。値下がりの可能性が高い。しかし、投資用不動産の市況はあまり落ち込むことはなく、わずかなネガティブか横ばいとなるだろう。

注目は、金融庁の動きだ。12月半ばの新聞報道でも見られたように、1月からアパートローン過剰警戒のため、不金融庁の監視が強化される。その影響が不動産への融資全体に及ばないかが心配だ。
ローンの審査状況で例えば、優・微妙・不可の3分類に分けていたとして、この微妙なカテゴリーの融資について、ローン審査が通らないものが出てくる可能性があるかもしれない。

しかし、不動産投資家の物件購入意欲は収まりそうにない。区分不動産投資物件の高値圏推移は続くだろう。こちらの懸念材料は、貸出金利の行方であろう。10年物国債の金利が上昇し始めているなど、いくつかのローン金利上昇懸念が見え始めているので、慎重な姿勢が求められる局面だ。

冒頭タイトルに書いたように、2017年は不動産投資・土地活用の転換点となる可能性が高まってきている。特に気になるのは、金利・金融庁の動きだ、こうした内容の報道には敏感になっていた方がいいだろう。

この記事を書いた人

吉崎 誠二
不動産エコノミスト
社団法人 住宅・不動産研究所 理事長 
吉崎 誠二

早稲田大学大学院ファイナンス研究科修了。
立教大学大学院 博士前期課程修了。
㈱船井総合研究所上席コンサルタント、Real Estate ビジネスチーム責任者、基礎研究チーム責任者 等を経て 現職。
不動産・住宅分野におけるデータ分析、市場予測、企業向けコンサルテーションなどを行うかたわら、全国新聞社、地方新聞社をはじめ主要メディアでの招聘講演は毎年年間30本を超える。
著書:「データで読み解く 賃貸住宅経営の極意」(2016年2月)「2020年 大激震の住宅不動産市場」(朝日新聞出版)「消費マンションを買う人、資産マンションを買える人」(青春新書)等10冊。多数の媒体に連載を持つ。
公式サイト:http://yoshizakiseiji.com/
社団法人 住宅・不動産総合研究所:http://www.hr-i.jp/


2017年1月12日
レポート