マンションリサーチ総合研究所

【第48回】中古マンションの価格はどう決まるのか?

中古マンションと新築分譲マンションの価格の決まり方は大きく異なる。

新築分譲マンションの価格は、マンションディベロッパーが決める。
土地取得費用、建築費用に加えて、販促費用などの経費に利益設定を行い、直近の不動産市況などを鑑みて値付けを行っている。
おおまかな価格は原価などから算出して事前に決めているが、正確な価格は直前まで決めないのが現実だ。モデルルームをオープンさせて、お客様の反応を見て最終的に決めるということも珍しくない。
市況の影響を受けるものの、かなり売主サイドの意向が強い(価格決定権)ということが言える。

一方、中古マンションの価格はどうきまるのだろうか?

経済学の原則として、自由市場において価格は、需要と供給のバランスで決まる。中古マンションの価格は、この需給バランスの上で、近隣不動産(マンション)の取引事例をもとに売りだし価格を決める。
マンションナビの簡易査定では、近隣の現在の売り出し価格などをプログラミングして算出しているが、これも考え方としては同じだ。
さらに、中古マンションの場合は、室内の状況や管理費、修繕積立の状況なども少しは影響を及ぼす。

首都圏や関西圏の中心部においては、一般的な実需用(投資用に建てられたマンションではない)分譲マンションを買って、それを賃貸物件として貸し出している例も多くみられる。
立地の良いタワーマンションの低層階や相続対策で購入したタワーマンションの高層階などでは多くみられる。
こうした投資前提の物件の価格は、収益還元という方法で算出されることもある。
収益還元価格とは、不動産から発生した1年間の収益を、その不動産から得られることが妥当な投資利回り(還元利回り)で割り戻したもの価格だ。ここでいう、妥当な利回り(還元利回り)は投資環境により変化する。
その際の妥当な利回りは、キャップレートと呼ばれる指標を用いることが多い。

例えば、1年間の賃料240万円(月20万円)の物件で、キャップレート5%ならば、240÷0.05=4800万円となる。

(図1)収益還元価格

(図1)収益還元価格

キャップレートは、いくつかのシンクタンクや大学などが公表しているので参考にされるといいだろう。

この記事を書いた人

吉崎 誠二
不動産エコノミスト
社団法人 住宅・不動産研究所 理事長 
吉崎 誠二

早稲田大学大学院ファイナンス研究科修了。
立教大学大学院 博士前期課程修了。
㈱船井総合研究所上席コンサルタント、Real Estate ビジネスチーム責任者、基礎研究チーム責任者 等を経て 現職。
不動産・住宅分野におけるデータ分析、市場予測、企業向けコンサルテーションなどを行うかたわら、全国新聞社、地方新聞社をはじめ主要メディアでの招聘講演は毎年年間30本を超える。
著書:「データで読み解く 賃貸住宅経営の極意」(2016年2月)「2020年 大激震の住宅不動産市場」(朝日新聞出版)「消費マンションを買う人、資産マンションを買える人」(青春新書)等10冊。多数の媒体に連載を持つ。
公式サイト:http://yoshizakiseiji.com/
社団法人 住宅・不動産総合研究所:http://www.hr-i.jp/


2016年5月20日
レポート