マイナス金利が導入されて1か月が過ぎた。(本コラム執筆は3月16日)
マイナス金利は2014年に欧州中央銀行(ECB)が導入、それによりユーロ安が起こり、EUの貿易黒字がもたらされた。ユーロ圏以外でも、スイス、デンマーク、スウエーデンなどでも導入されている。

このうち、北欧国で起こったとされているのが住宅価格の上昇だ。マイナス金利政策は貸出金利(個人の場合住宅ローンなど)低下になるから、住宅が買いやすくなる。
価格は需給のバランスで決まる。多くの人が買おうという意欲を見せると売る側は強気の価格設定になるのは必然で、それが繰り返されると価格の上昇ということになる。

日本においても、すでに大手メガバンクをはじめ、地銀、ネット銀行にいたるまで、ほとんどの金融機関が住宅ローン金利を大きく下げを実行した。これにより住宅購入意欲が高まっていることは間違いないが、現状はすでにマンション価格は首都圏においてはかつてのバブル期に近いほど高くなり、容易に購入に踏み切れる価格ではなくなってきている。そのため、思っていたほどマンション市場が大活況にはなっていない。

ここで、住宅ローン金利に影響がある長期国債10年もの、30年ものの金利推移と首都圏におけるマンション価格の関係を見てみよう。

(図1)長期国債と首都圏中古マンション価格の推移

(図1)長期国債と首都圏中古マンション価格の推移

住宅ローンのうち、特に固定金利は長期国債の影響を強く受けている。メガバンクの店頭金利は提携露ローンを乱発させているため、実際の適用金利は見えにくい。
そのため、ここでは国債の動きとマンション価格の推移をみることにした。

これをみると一目瞭然で、特に2014年半ばくらいからは長期国債の金利とマンション価格はマイナス相関になっている。金利が下がるにつれて、価格が上がっていることがはっきり見て取れる。

では、マイナス金利が浸透するともっと価格が上がるのか?というと、そうとも言えない。現在の首都圏のマンション価格(坪単価)はかなり高水準で、一般のサラリーマンの所得では手に届かなくなりつつある。(一部報道では、バブル期並みとも)
こうしたことから考えると、これからの大きな価格上昇はないと思えるが様子を見ておきたい。

吉崎 誠二氏
吉崎 誠二氏
  不動産エコノミスト 社団法人 住宅・不動産研究所 理事長   不動産・住宅分野におけるデータ分析、市場予測、企業向けコンサルテーションを行う傍ら、全国新聞社、地方新聞社をはじめ 主要メディアでの招聘講演は毎年年間30本を超える。

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