マンションリサーチ総合研究所

【第41回】タワーマンションに住むなら賃貸がいい?それとも購入?

マンションは、所有か?賃貸か?は、よく質問されることで、多くの方に関心のあることのようだ。

その答えは、「住む場所により異なる」と「売買価格=購入価格はアップダウン幅が大きく、賃料は幅が小さいので、上手く(安い時期に)買えるかどうかで異なる」が正しい答えとなる。とてもあいまいだが。

この問いをタワーマンションに限るとどうなるだろうか?ここでは、タワーマンションは21階建て以上の物件としておく。

タワーマンションは都心の一等立地にあることが多く、賃貸として貸し出されている部屋も多く、賃貸物件としての人気も高い。都心のタワーマンションにおいては、とくに低層階では値段もそれほど高くなく、暗転した賃料、かつ値下りしにくいことから、投資としても人気が高い。

借りる側視点で考えると、交通の便がよく、共有スペースが充実、コンシェルジェもいるので、独り暮らしや共働きの方も安心、上層階ならば景色もよい、そして、たいてい同じマンションで複数戸募集しているから選択肢もある、という多くのメリットがある。

タワーマンションを購入する人の思いは色々とあるだろう。

利便性の良い場所に建っていることが多く、また大規模マンションならではの充実した共有スペース(ジム、ゲストルーム等)も魅力だろう。資産価値下落(=中古物件として販売した際に購入時よりどれくらい下がるか)も少ないと予想される。しかし、東京湾岸に建つタワーマンションは、同時期に大量に販売されているので、例えばいまから10年後あたりに一斉に中古物件が売りに出されるとすると、値崩れが起こる可能性もある。

一方、気になる点も挙げておきたい。メディアの報道によると、2017年度を目途に、タワーマンションに関する税制度が変わるかもしれないということだ。タワーマンション(特に上層階)では、固定資産税を評価する額と、実際の取引額に大きな開きがあることから、この差を利用した税の圧縮が行われている。その不公平を緩和しようというものらしい。この時点(2015年11月)まだ決まったわけではないが、その方向になりそうだ。

さて、マンションンリサーチが保有する中古タワーマンション物件のデータの分析を行ってみたい。今回は、賃料と売買価格のから算出した公式に基づく“数式賃料”と実際の賃料を比べてみた。タワーマンションのくくりは、最寄り駅とした。

(図1)駅別 タワーマンションの売買価格×賃料価格

(図1)駅別 タワーマンションの売買価格×賃料価格

マンションリサーチが保有する売買価格(売り出し時点価格、平米単価)とその物件の賃料(応募価格・平米単価)をプロットしたのが図1だ。

これらの近似直線をとると、y=0.0038X となる。相関係数は、0.677なので、強い相関がある。

数式賃料>実際賃料 つまり現在、購入価格が高いことを示している。(もしくは、現在賃料が安い)この図の上のマイナス数字のカテゴリーが該当地で、溜池山王、青山1丁目、赤羽橋が最寄りの物件だった。

 図の下のカテゴリーはその逆で、現在は、賃貸の方が割高で、購入の方が安いと(理論上では)、言える。

この記事を書いた人

吉崎 誠二
不動産エコノミスト
社団法人 住宅・不動産研究所 理事長 
吉崎 誠二

早稲田大学大学院ファイナンス研究科修了。
立教大学大学院 博士前期課程修了。
㈱船井総合研究所上席コンサルタント、Real Estate ビジネスチーム責任者、基礎研究チーム責任者 等を経て 現職。
不動産・住宅分野におけるデータ分析、市場予測、企業向けコンサルテーションなどを行うかたわら、全国新聞社、地方新聞社をはじめ主要メディアでの招聘講演は毎年年間30本を超える。
著書:「データで読み解く 賃貸住宅経営の極意」(2016年2月)「2020年 大激震の住宅不動産市場」(朝日新聞出版)「消費マンションを買う人、資産マンションを買える人」(青春新書)等10冊。多数の媒体に連載を持つ。
公式サイト:http://yoshizakiseiji.com/
社団法人 住宅・不動産総合研究所:http://www.hr-i.jp/


2015年12月18日
レポート