マンションリサーチ総合研究所

【第40回】どの街に人口が流入しているのか?全国主要都市の人口流入

国勢調査の結果が発表されると、新聞紙面には「首都圏への人口集中が進んでいる」という記事が出始めてもう久しい。

とくに、2000年以降は、三大都市圏(首都圏・関西圏・中京圏)への人口集中が目立ち、そのエリアに住む人々は全国の半分を超えている。また首都圏に住む人口はここに来て増加に勢いが付き、全人口の1/3を超えている。

しかし、三大都市圏とひとくくりにして論じる場合は、地方衰退論との対比として、大都市と地方都市の格差が広がっているとなるが、詳しくみると3大都市圏の中にも格差がある。

(図1)主要都府県の人口の転入出の推移

(図1)主要都府県の人口の転入出の推移

最も多い首都圏の流入では、東京・神奈川を中心にかなりの流入超過が続いている。製造業の勢いがますます顕著な中京圏、(図1では愛知県)の人口流入超過が続いている。

一方、関西圏の勢いは弱い。兵庫・京都は都市部と日本海側の地方部を合わせ持つ県だが、長く人口流入超過が続いていた大阪は2014年には人口流出県になってしまった。これで、関西の中心都市2府1県はすべてマイナスとなっている。

これを、政令指定都市という単位で見ると違う側面が見えてくる。

(図2)主要都市の人口と転入超過数(単位:人)

(図2)主要都市の人口と転入超過数(単位:人)

図2を見ると、まず驚くのは、東京特別区(23区)の人口流入の多さだ。都心回帰といわれ始めたのが1995年ごろ、湾岸エリアにマンションが増えてきたのが2000年代の前半。この頃から東京横浜エリアに高層建築が増えてきた。今では想像もつかないが、1990年代後半までの東京都心には、高層ビルや高層マンションがまだまだ少なかったのだ。

そして、表で赤く色づけ札幌と福岡にも注目したい。

北海道全体の人口は人口流出過多で年々減っているが、札幌の人口は増えている。図2にあるように、人口対転入超過率が0.5%と全国でも上位だ。札幌が北海道の中の“東京”となっており、北海道の他都市からの流入が目立っている。

また、同様に福岡市の人口対転入超過率は0.6%で東京23区を除けば最も多い。こちらも札幌と同じように、福岡市が九州の中の“東京”となっており、九州各地からの人口流入が増えている。

さらに福岡は、企業誘致に力を入れており、ネームバリューのあるベンチャー企業が本社を福岡市に移す事例もある。福岡空港は、博多・天神といった福岡の中心ビジネス街から極めて近く、全国各地(含むアジア各地)へ航空路線がある。こうした利便性の良さも、一役買っているのだと思う。

この記事を書いた人

吉崎 誠二
不動産エコノミスト
社団法人 住宅・不動産研究所 理事長 
吉崎 誠二

早稲田大学大学院ファイナンス研究科修了。
立教大学大学院 博士前期課程修了。
㈱船井総合研究所上席コンサルタント、Real Estate ビジネスチーム責任者、基礎研究チーム責任者 等を経て 現職。
不動産・住宅分野におけるデータ分析、市場予測、企業向けコンサルテーションなどを行うかたわら、全国新聞社、地方新聞社をはじめ主要メディアでの招聘講演は毎年年間30本を超える。
著書:「データで読み解く 賃貸住宅経営の極意」(2016年2月)「2020年 大激震の住宅不動産市場」(朝日新聞出版)「消費マンションを買う人、資産マンションを買える人」(青春新書)等10冊。多数の媒体に連載を持つ。
公式サイト:http://yoshizakiseiji.com/
社団法人 住宅・不動産総合研究所:http://www.hr-i.jp/


2015年12月18日
レポート