マンションリサーチ総合研究所

【第39回】建築年でずいぶん違う修繕積立金

第38回では、分譲マンションの管理費用の傾向について築年と1棟当たりのマンションの戸数で分析したが、この回では、同様に修繕積立金について考察してみたい。

修繕積立金は、ご存知のように、分譲マンションの共用部・構造躯体・外壁・外溝など住人が住む専有部以外の部分の修理・維持管理費用に使われる費用だ。

築10~15年くらいまでは細かな修理・修繕的なことが多くそれほど大きな支出はないが、それを超えると大規模な修繕が発生し莫大な金額がかかる例も多くみられる。

また、この修繕積立金は、先に述べた修理・維持管理・大規模な修繕を建築前にあらかじめ想定して、金額を決めるため、想定外の問題が発生した際や災害や天災等が起こった場合は、「足りない」ということも起こりうる。中古物件として分譲マンションを購入する場合は、価格だけでなく、この修繕積立金の状況、大規模修繕の状況などもよく確認してから購入すべきだ。

(図1)東京23区 総戸数 × 修繕費

(図1)東京23区 総戸数 × 修繕費

図1は修繕積立金(縦軸)とマンションの総戸数の関係を示したものだ。

第38回の管理費と同様に強い関係性は見られなかった(R2=0.0256)また、管理費での分析に比べてバラつきがあるのも修繕積立金の特徴と言える。ボリュームゾーンは、平米当たり100円~200円だ。80平米の換算では、8,000円~16,000円となる。

(図2)東京23区 建築年 × 修繕費

(図2)東京23区 建築年 × 修繕費

図2は、築年数と修繕積立金の関係をしめしたもの、縦軸に平米当たりの修繕積立金、横軸は右に行くほど新しいマンションということになる。

こちらも、第38回と同様にバブル期に建てられた物件の高さが目立つ。管理費同様に共有部のデラックスさがそうさせているのだろう。

一方、リーマンショック後の物件の安さも特徴的だ。この頃はマンション販売がそれまでの建築ラッシュ時代から急激に落ち込んだ頃でもあり、販売促進の意味合いもあったのだろう。しかし、修繕積立は、将来の修繕を見越して徴収しているものだから、安いからいいというわけではない。先に述べたように、「足りない」ということになれば、各住戸から追徴という形にもなりかねないから注意が必要だ。

この記事を書いた人

吉崎 誠二
不動産エコノミスト
社団法人 住宅・不動産研究所 理事長 
吉崎 誠二

早稲田大学大学院ファイナンス研究科修了。
立教大学大学院 博士前期課程修了。
㈱船井総合研究所上席コンサルタント、Real Estate ビジネスチーム責任者、基礎研究チーム責任者 等を経て 現職。
不動産・住宅分野におけるデータ分析、市場予測、企業向けコンサルテーションなどを行うかたわら、全国新聞社、地方新聞社をはじめ主要メディアでの招聘講演は毎年年間30本を超える。
著書:「データで読み解く 賃貸住宅経営の極意」(2016年2月)「2020年 大激震の住宅不動産市場」(朝日新聞出版)「消費マンションを買う人、資産マンションを買える人」(青春新書)等10冊。多数の媒体に連載を持つ。
公式サイト:http://yoshizakiseiji.com/
社団法人 住宅・不動産総合研究所:http://www.hr-i.jp/


2015年11月26日
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