マンションリサーチ総合研究所

【第34回】なぜ福岡にはマンションが多いのか?と、なぜタワーマンションが少ないのか?

福岡市は、マンション化率の高い都市として知られている。いまでこそ、東京23区がマンション化率はトップであるが、2010年くらいまでは、長年福岡市がトップの地位を不動のものとしていた。
特に、福岡市中央区においては、45%近くがマンションという状況で、2世帯強に1世帯という割合で住民はマンションに住んでいるということになる。
2015年1月に東京カンテイが発表したデータによると、東京23区がトップで30.38%、福岡市はそれに次ぐ第2位で29.24%となっており、近年は不動の2位という状況だ。ちなみに、3位は神戸市、4位は横浜市となっている。

人口流入が多く、また湾岸、海上都市開発が進む東京は例外として、マンション化率の高い都市には共通点がある。それは、古くからの港町であるということだ。
朝鮮半島や中国大陸との玄関口だった博多港は、日本三津として中国明の時代の歴史書にも登場する、古くからの港町だ。神戸もどうように神戸港はかつての福原、兵庫港として栄えた。

海洋土木技術の発達していなかった時代には、大きな船が入港できるような水深が深い港を掘削して掘ることは難しかったため、山から港に至る急峻な地形でないと実現できなかった。天然の良港とよべる地形が必要だったのだ。山と海が近接している地形に船が入る。そこに人が集める。という流れで人口が増えていく。当然平地は少ないから、高層建築に住むようになる、こうしてマンションが増えてくるのだ。
これは、日本に限ったことではない。香港は香港島、九龍半島とその間の海から成っているが、高層マンションだらけだ。シンガポール、サンフランシスコ・・・港町=マンションの構図は世界共通なのだ。

また、福岡市内は、福岡空港が世界に類を見ないほど中心街から近い場所にあるために、高さ制限の網が厳しくかけられている。そのため、確かにマンションの数は大きいのであるが、天神や中州、博多といった市内中心部には20階を超えるような高層マンションは見当たらない。その一方、百道、西新、香椎などといった市内周辺部では高層マンションが散見される。
こうした状況のため、東京都心、大阪市内、名古屋市、仙台などにあるような市内中心部に誰もが知るような著名なタワーマンションが見られない。

また、福岡市内(周辺部含む)の分譲マンション供給会社の勢力図は東京、大阪に多い、大手デベロッパー物件は少なく、JR九州、西鉄、第一交通といった交通系大手企業による物件が多いのも特徴と言えよう。

この記事を書いた人

吉崎 誠二
不動産エコノミスト
社団法人 住宅・不動産研究所 理事長 
吉崎 誠二

早稲田大学大学院ファイナンス研究科修了。
立教大学大学院 博士前期課程修了。
㈱船井総合研究所上席コンサルタント、Real Estate ビジネスチーム責任者、基礎研究チーム責任者 等を経て 現職。
不動産・住宅分野におけるデータ分析、市場予測、企業向けコンサルテーションなどを行うかたわら、全国新聞社、地方新聞社をはじめ主要メディアでの招聘講演は毎年年間30本を超える。
著書:「データで読み解く 賃貸住宅経営の極意」(2016年2月)「2020年 大激震の住宅不動産市場」(朝日新聞出版)「消費マンションを買う人、資産マンションを買える人」(青春新書)等10冊。多数の媒体に連載を持つ。
公式サイト:http://yoshizakiseiji.com/
社団法人 住宅・不動産総合研究所:http://www.hr-i.jp/


2015年9月11日
レポート