マンションリサーチ総合研究所

【第32回】タワーマンションはこれからも売れ続けるのか?~そろそろ、ピークの兆し~

タワーマンションの人気が続いている。マンションリサーチ社が所有する中古マンションの売り物件データを見てみると、2013年以降高値が続いている。
タワーマンションは東京都心に多く建てられている。中でも東京湾沖に広がる埋立地エリア、かつては倉庫が点在していた湾岸エリアが目立つ存在であるが、それ以外にも、大崎副都心構想に伴う大崎五反田エリアや大規模な再開発が行われるとそこにタワーマンションが建てられることが多い。

タワーマンションの人気は、2000年以降の都心回帰ブームに始まり、東日本大震災により一旦しぼみかけたが、景気回復や円安株高基調と相まってブームが復活している。湾岸エリアにおいては、2020年東京オリンピック開催が決まるとブームに拍車をかけたようだ。
さらに、2015年から施行された相続税法の変更により、これまでより多くの人々が相続税支払い対象となることがわかると、実勢売買価格と固定資産税評価額の差を利用した節税方法、いわゆる「タワーマンション節税」が広まると、高層階の高額物件の人気はさらに高まった。 さらには、円安基調が数年にわたり続いていることで、富裕層が増えているアジア各地の人々が価格の安定感がある東京の高層マンションを買うようになっている。
以上が、タワーマンション人気のあらましだ。

しかし、そのタワーマンション人気にも黄色信号がともり始めている。
まず、タワーマンションにおける固定資産税税度を変える検討をしているようだ。先に述べたように実勢価格との固定資産税評価額の大きな開きを節税に使うスキームが広く知られ、これを是正するために、意見公聴会が開かれたと聞く。もし、税制度が変わると、節税スキームが利用できなくなり、人気が下がるかもしれない。

次に気になるのが、中国経済の迷走だ。
中国の経済成長が鈍化していることは広く知られているが、中国政府の情報統制により詳しくはわからないが、中国政府の株式市場や為替相場への市場介入の激しさを見ていると、相当悪化傾向にあると考えていいだろう。
これが、日本の不動産市況にどんな影響を与えるかは見えない。中国経済の先行き不安から、日本の(主に東京・大阪)不動産を購入するとも考えられる。が、中国株価下落等により資産減になり、日本の不動産を買う余力がなくなるのでないか、と考えるのが一般的だろう。

東京都心、大阪中心部で、今後も続々と計画されているタワーマンション。今が人気のピークかもしれない。どうも、「売るなら、いま」だと思える。

この記事を書いた人

吉崎 誠二
不動産エコノミスト
社団法人 住宅・不動産研究所 理事長 
吉崎 誠二

早稲田大学大学院ファイナンス研究科修了。
立教大学大学院 博士前期課程修了。
㈱船井総合研究所上席コンサルタント、Real Estate ビジネスチーム責任者、基礎研究チーム責任者 等を経て 現職。
不動産・住宅分野におけるデータ分析、市場予測、企業向けコンサルテーションなどを行うかたわら、全国新聞社、地方新聞社をはじめ主要メディアでの招聘講演は毎年年間30本を超える。
著書:「データで読み解く 賃貸住宅経営の極意」(2016年2月)「2020年 大激震の住宅不動産市場」(朝日新聞出版)「消費マンションを買う人、資産マンションを買える人」(青春新書)等10冊。多数の媒体に連載を持つ。
公式サイト:http://yoshizakiseiji.com/
社団法人 住宅・不動産総合研究所:http://www.hr-i.jp/


2015年8月20日
レポート