マンションリサーチ総合研究所

【第31回】タワーマンション分析シリーズ②【タワーマンションの20階以上の下落率】

今回は、タワーマンションの高層階における現在の中古市場について考えてみたい。

下の図は、マンションリサーチ社が保有するビックデータのうち東京23区の21階建て以上のマンションにおける、20階以上の部屋の騰落率を表したものだ。(期間は、2015年1月 → 6月末)
この間における、値段の下落率を表現した。
中古マンションを売る際、初めは「とりあえず、これくらいの値段で売り始めよう」ということで、特に不動産景気の良い時は、やや強気な価格設定をしがちだ。しかし、数か月経っても売れない状況が続けば、募集価格(売り出し価格)を下げて、再度公募する。こうした分析をすれば、現状が見えてくる。

全体データは7,717戸、そのうち62.1%、4,797戸はこの間に価格下落はなかった。
残りの2,920戸、37.8%が価格を下げて販売している。これら下げて販売している物件の下げ率を見てみよう。(図1)

(図1)下落率の比較

(図1)下落率の比較

最も多いのは、10%内の物件、75%を占めている。もっとも大きな下落率を示した物件は、-40%の下落で、港区にある某タワーマンションの22階の物件で、もとは45,000万円だったのが、現在(7月末)では、26,800万円となっている。下落率の平均は、7.1%で、タワーマンション20階以上の階の物件では、これくらい下げた価格の指値をしてみるといいかもしれない。

次にこれらを階数層で分析してみた。

(図2)階層別 下落率の比較

(図2)階層別 下落率の比較

これを見ると、30%以上値下がりしているものは明らかに50階以上のマンションが多いことがわかる。
その理由を考えてみると、
①そもそも購入層が少ないので、中古マンション売却に不利
②強気な値付けが原因
③早く売却したいと考える所有者
あたりが考えられる。

確かに、タワーマンションンの高層階は高額物件であるが魅力だ。しかし、売るタイミング、売り方を考えないと、売却に苦戦することだろう。

この記事を書いた人

吉崎 誠二
不動産エコノミスト
社団法人 住宅・不動産研究所 理事長 
吉崎 誠二

早稲田大学大学院ファイナンス研究科修了。
立教大学大学院 博士前期課程修了。
㈱船井総合研究所上席コンサルタント、Real Estate ビジネスチーム責任者、基礎研究チーム責任者 等を経て 現職。
不動産・住宅分野におけるデータ分析、市場予測、企業向けコンサルテーションなどを行うかたわら、全国新聞社、地方新聞社をはじめ主要メディアでの招聘講演は毎年年間30本を超える。
著書:「データで読み解く 賃貸住宅経営の極意」(2016年2月)「2020年 大激震の住宅不動産市場」(朝日新聞出版)「消費マンションを買う人、資産マンションを買える人」(青春新書)等10冊。多数の媒体に連載を持つ。
公式サイト:http://yoshizakiseiji.com/
社団法人 住宅・不動産総合研究所:http://www.hr-i.jp/


2015年7月31日
レポート