マンションリサーチ総合研究所

【第28回】分譲マンションと賃貸マンションどっちがお得?をデータで解き明かす

分譲マンション(所有)と賃貸マンション(賃借)は、どっちがお得か?というのは、不動産・住宅系のコラムにおいては、鉄板の内容だ。私も幾度となくこのテーマで連載を書いたことがあるが、どれも多くの方に読んでいただく結果になった。

分譲マンションがお得か、賃貸マンションがお得かは、一概には言えない。経営者の方であるならば、経費で一部落とせる(こともできる)という観点からは賃貸物件の方がいいといえるし、超一等地に建つヴィンテージマンションであるならば、築年数が経過しても、ほとんど再販売価格が下がらない(あるいは高くなる)ことから、分譲マンションの方がお得と言える。

しかしながら、このように一概には言えないものの、物件の場所の影響は受けるという事は間違いないだろう。

単純な計算ではあるが、賃料(平米単価)と購入マンション価格(平米単価)を比較することでも、「どちらがお得か」を算出することが出来る。

まず、マンションリサーチ社が所有する都心5区(港区、千代田区、中央区、渋谷区、新宿区)に所在する販売予定中古マンションの2015年6月時点の売買価格とその物件の想定賃料を算出した。

都心5区マンションデータ全体像 各項目平均値の比較

都心5区(港区、渋谷区、新宿区、千代田区、中央区)における平均値

都心5区(港区、渋谷区、新宿区、千代田区、中央区)における平均値

これを見ると、港区、千代田区の売買価格の高さが目立つ。一方、賃料単価との比較でみると、渋谷区がやや割高感があることがわかる。エリアによっては、マンションを借りる方が、買う方よりも割高であることがあるという事が見えてきた。

こうしたことを詳細に検討したいと思い、東京23区の中古マンション価格データと賃料データを基に、最寄り駅別の「賃貸」と「所有」どっちがお得かを計算してみた。それが図2だ。(東京23区の主要駅のみ)

駅名別 売買価格と賃料の比較全体像

駅名別 売買価格と賃料の比較全体像

縦軸に賃料、横軸に分譲価格(ともに平米単価)を取り、最寄駅名をプロットした。R2を計算すると0.56となっており、そのラインを引くとその線の周辺にプロットが固まっており、分譲価格と賃貸価格の関係は深いことが分かる。しかし、完全に関係のあるr2=1とはかなりの相違がある。

つまり、賃貸の割安エリア、割高エリアがあり、同じく分譲マンションの割高エリアがあり、割安エリアがあるという事がわかる。

この図は、東京都区部において賃貸物件を借りる、分譲マンションを買うという時に役立つだけでなく、賃貸マンション投資においても、役立つ指標となるだろう。

駅名別 売買価格と賃料の比較(左上ゾーン)

駅名別 売買価格と賃料の比較(左上ゾーン)

駅名別 売買価格と賃料の比較(右上ゾーン)

駅名別 売買価格と賃料の比較(右上ゾーン)

駅名別 売買価格と賃料の比較(左下ゾーン)

駅名別 売買価格と賃料の比較(左下ゾーン)

駅名別 売買価格と賃料の比較(右下ゾーン)

駅名別 売買価格と賃料の比較(右下ゾーン)

この記事を書いた人

吉崎 誠二
不動産エコノミスト
社団法人 住宅・不動産研究所 理事長 
吉崎 誠二

早稲田大学大学院ファイナンス研究科修了。
立教大学大学院 博士前期課程修了。
㈱船井総合研究所上席コンサルタント、Real Estate ビジネスチーム責任者、基礎研究チーム責任者 等を経て 現職。
不動産・住宅分野におけるデータ分析、市場予測、企業向けコンサルテーションなどを行うかたわら、全国新聞社、地方新聞社をはじめ主要メディアでの招聘講演は毎年年間30本を超える。
著書:「データで読み解く 賃貸住宅経営の極意」(2016年2月)「2020年 大激震の住宅不動産市場」(朝日新聞出版)「消費マンションを買う人、資産マンションを買える人」(青春新書)等10冊。多数の媒体に連載を持つ。
公式サイト:http://yoshizakiseiji.com/
社団法人 住宅・不動産総合研究所:http://www.hr-i.jp/


2015年7月14日
レポート